『ネズーキャンディー。』

『君も、ネズーキャンディーを食べてネズー王国に行こう!』
白手袋のネズー君は、ものすごく人気がある。子供達も大人達もみんな
キャンディーを買いあさった。ネズー王国は、ネズー君ファンにはたまらない。
魅力あふれる場所で休日のたびにみんな押し寄せるのでした。
一番のオススメは、壁全体が水槽になっているレストラン。お客は、色とりどりの水槽のサカナを
眺めながら食事と、ネズー君ショウを楽しむ事が出来る。
だけどぼくは、キャンディーを食べた事がない。理由は簡単、食べたくないから
そんなぼくを変わり者と言うらしい。
みんなは、とりつかれた様にカリカリ、ペチャクチャ食べていた。
歯磨きも忘れて、お陰で歯医者は大繁盛。
テレビをつければネズー君。街を歩けばネズー君と言う具合に
何処に行っても、まわりにいつもネズー君の顔があり、みんなは大喜び
ぼくは、うんざり。今やこの世でネズー君の事を知らないやつはいないと言っても
いいくらいの人気者になっていた。
キャラクターグッズもたくさんあって、まがい物も出て来るようになった。
噂では、あるバッタ屋がネズー君のお父さん(職業は歯医者さん)にボコボコにされて、二度とこの
世の空気を吸えなくなったらしい。恐ろしや。
いつまでこの人気が続くのやらと、ぼくは思っていたが
衰える事もなくこの人気は続いていた。
だけどそんな事、ぼくには関係がないのでほっぽってていたのだけれど、
どうやら、そう言う訳には行かなくなって来たみたい。
この世で、ネズー君の事を知らないヤツがいないのは、みんなも知っている。
だけど、みんながネズー君の事を好きかと言えば、100%の答えは望めないはず。
だって、少なくともぼくは、好きだと思っていないから
今、思えばそれがいけなかったみたい。
初めは、やたらキャンディーが送られて来た。
次は、電話攻撃。ネズー王国への招待状も送られて来た。
なんだか気持ち悪いから、一切受け付けなかった。
友達は、勿体無いと言ったけど興味がない事に首は突っ込みたくはなかった。
インターホンが鳴った、ドアを開けると消毒液臭い男が立っていた。
それからの記憶がない。ぼくは、大きな水槽で今日も元気に泳いでいます。



おしまい。


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